完璧を追求する人ほど、なぜいつも締め切り直前にしか動かないのでしょうか。
もしかしたらそれは怠慢ではなく、
とても巧妙な自己防衛なのかもしれません。
今度こそ早めに準備しようと誓っても、いつも締め切り前夜になります。
今度こそ早めに準備しようと誓います。
でも、いざノートパソコンを開くと、
なぜか机の片づけから始めてしまいます。
パソコンが遅いから、
資料がまだ足りないから。
あれこれ理由をつけて先延ばしにしているうちに、
気づけば締め切り前夜です。
「また同じことをしてしまった」
という自己嫌悪に襲われますが、
次のプロジェクトでも
まったく同じパターンが繰り返されます。
1978年、心理学者スティーブン・バーグラスとエドワード・ジョーンズは興味深い実験を行いました。
参加者に問題を解かせたあと、
実際の出来とは関係なく
全員に「とてもよくできました」と伝えました。
このうち一部は、
実は解けない問題を渡されていた人たちでした。
その後、次のテストの前に
飲む薬を選ばせました。
一つは集中力を高める薬、
もう一つは集中力を下げる薬でした。
解けない問題でたまたま良い評価を受けた人たち、
つまり自分の実力に自信が持てない人たちのほうが、
集中力を下げる薬を多く選んだのです。
理屈に合わない選択のように見えます。でも、そこには理由があります。
次も失敗すれば、
「やはり自分には能力がない」
という結論を避けられません。
でも先にハンディキャップを作っておけば、
失敗しても「薬のせいで」「時間がなかったから」という
言い訳が残ります。
この戦略を
一般に「自己ハンディキャップ戦略」と呼びます。
完璧主義者が締め切りを先延ばしにするのも、同じ心理に従っています。
事前に全力を尽くして結果が悪ければ
自尊心が直接傷つきます。
でも時間に追われて出した結果が悪ければ、
「時間さえあれば」
という言い訳が残ります。
ただし、この戦略は無意識のうちに働くことが多いものです。
本人は本当に時間がなかったのだと
信じ込んでいることが少なくありません。
こう活用してみてください。
① 完璧な資料ではなく完成させた草案を目標に
大事な発表を控えているなら、
「完璧な資料」ではなく
「一旦完成させた草案」を目標にしましょう。
「今日中に60点の草案を仕上げる」
のように、具体的な基準を決めるのが効果的です。
② 子どもには先に言ってあげてください
子どもが試験前夜までゲームばかりして
「どうせダメだった」と言うなら、
叱る前にこの心理を疑ってみてください。
「結果が悪くても、
それがあなたの能力のせいじゃないことはもう分かってるよ」
と先に伝えると、
皮肉なことに子どもが
言い訳を必要としなくなることが多いのです。
③ 自分自身にも同じ練習を
結果が悪かったとき、
それが能力ではなく
努力や戦略の問題だったと認める練習が、
次のハンディキャップを減らしてくれます。
ただし、このパターンに気づいたからといって
一晩で消えるわけではありません。
先延ばしにしている自分に気づくたびに、
「今、言い訳を作っているところじゃないか」
ともう一度問いかけるだけで十分です。
今日のインサイト
言い訳は、失敗を恐れる人が先に準備しておく防御です。
まとめ
今あなたが先延ばしにしていること、
それは本当に時間がないからでしょうか。
それとも、
失敗したときのための言い訳を
先に用意しているだけでしょうか。